「知的財産権」このツボをおさえよう
(第1回)特許と実用新案(前編)

 この製品は特許製品ですよ、と言われると、ここは独自製品の開発に力を入れている会社だなと感じるものです。一般には、どちらかというと、実用新案ですよ、と言うより特許ですよと言った方が聞こえが良いようです。また、実用新案は役に立たないといった誤解もされているようです。
 しかし、どちらもアイデアを独り占めできる独占権です。その価値判断は市場原理に基づきます。だれも興味を示さない特許よりも、みんなが使いたがる実用新案のほうが価値があると言えます。
さらに、実用新案は小規模企業による小発明を保護する制度だから、手続き費用を低く設定してあります。
 トップ企業は、製品寿命が長く売り上げに大きく貢献する製品について特許を出願します。だから実用新案の利用が少ないのです。
 一方、小規模企業は、製品寿命が短くても、また、売り上げが何億円も無くても、権利を確保して業績に反映させることができます。特許と実用新案制度の違いをしっかり理解して、ツボをおさえて下さい。

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 それでは両制度の違いを紹介します。
(1)作成書類
 特許庁に提出をする書類に記載するべき事項は、特許も実用新案も大差ありません。
(2)審査
 特許は審査をパスしたものだけが登録されます。審査期間は数年にもなります。
 実用新案は出願手続き後無審査で4~5ヶ月で登録番号が付与されます。
 特許は登録されると、すぐに差し止め訴訟ができるような独占権が発生します。
実用新案は登録後いつでも簡単な審査を受けられます。その後、特許と同様の権利行使ができます。審査を受けるタイミングが重要なツボです(後編で説明します)。
(3)権利期間 
 権利期間は、特許は出願から二十年、実用新案は十年です。製品寿命が十年以内なら実用新案で充分です。
(4)権利の対象
 実用新案は、方法の発明や化学材料の発明が対象外ですが、ほとんどの構造物や装置を権利化することができます。
(5)総費用
 審査の費用を含めても、実用新案は特許の半分以下で権利を取得できます。