「知的財産権」このツボをおさえよう
(第2回)特許と実用新案(後編)


前編で、実用新案も強力な独占権を主張できるというお話をしました。今回は実用新案制度の上手な利用方法をお話します。
実用新案は、出願をすれば無審査で登録されます。だから、登録を受けていても何の効力も無いと思うのは間違いです。
例えば、自社で開発をした新製品について実用新案の登録を受けたとします。実用新案の登録を受けたことで、自社の開発力のアピールができます。類似する他社の権利の発生も阻止できます。また、第三者は権利行使を警戒して、競合製品の製造販売を自粛します。審査を受けなくても、これだけの効果が得られます。
特許は審査を受けなければ登録されません。三年以内に審査を請求しないと出願取り下げになります。
一方、実用新案は、登録後いつでも、五年後でもさらに後でも、必要なときに審査を受けることができます。しかも、短期間で審査の結果がでます。
例えば、他社が競合製品の製造販売を始めたとします。そのときに審査を受けて、独占に値する権利かどうかの判断を求めれば十分に間に合います。審査を受けずに権利を満了させてもよいのです。
審査の結果がOKなら、すぐに警告を発して、製造販売を止めてもらいます。審査の結果がNGなら、独占は無理ということがわかりますから、権利行使を断念します。
実用新案の審査は、カードゲームの切り札と同じです。攻める相手がはっきりして、その効果が最大のときに審査を受けるようにします。
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実用新案の審査結果は、両刃の剣とも言えます。せっかく登録を受けて商品のピーアールに使えていたのに、審査を受けてNGという判断がされると、「実用新案登録」という看板を下ろさなければなりません。そのときから競合他社に対する牽制力も消滅します。
審査を受けてみないと権利の有効性がわからないような微妙なものについて、早々に結論をだしてしまうのが得策かどうか十分に考慮しなければいけません。だから、大切な切り札なのです。
ここで、審査を受ける場合の実用新案と特許の決定的な違いをお話します。
特許は、審査を受けながら、何回か、権利範囲を調整できます。適切な表現の強い権利が取得できます。一方、実用新案は、審査の結果が通知された後、原則として一回だけしか権利範囲の修正ができません。しかも、修正できる範囲が厳しく制限されています。失敗が許されません。
こんな制度の違いをしっかり理解した上で、経済的な実用新案制度を活用して下さい。