「知的財産権」このツボをおさえよう
(第4回)切り餅の特許侵害事件

サトウの切り餅の事件をご存知でしょうか。
一個ずつ袋に入った切り餅は、お正月以外でもよく食べますね。この切り餅の側面に切れ目をいれておくと餅が形良く焼けます。これが越後製菓の特許です。佐藤食品が特許侵害したとして訴えられました。

佐藤食品は、越後製菓の特許出願前からこの餅を製造販売していたと主張しました。
これが証明できれば、佐藤食品の行為は特許侵害になりません。既得権だからです。
さらに、越後製菓の特許を無効にすることができます。特許出願前に、その餅が佐藤食品の製品として販売されていたなら、越後製菓が特許を取得することはできません。何よりも新しい発明だけが特許を受けることができるからです。
 しかしながら、佐藤食品はこれを証明することかできませんでした。結局何億円もの損害賠償金を支払えという判決が出たようです。
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 さて、この事件から得られる教訓です。
まず、訴えを起こされる前に、他社の特許に対する十分な対策をしておくことが大切です。
権利抵触のおそれがあるかどうか、警告があったらどう対処するか、これをしっかりと決めておかなければなりません。自分に甘い権利解釈は危険です。
また、特許出願前からこの餅を製造販売していたと主張するなら、その客観的な証拠を準備しておかなければなりません。裁判が始まってから証拠を探しても、提出期限までに見つからなければ負けです。
 もちろん、誰よりも早く特許出願をしておけば、それに越したことはありません。
さもなければ、新商品を製造販売したときに、その商品の説明と製造日や販売日を記録した書類を作成し、その書類の存在を証明できるようにしておいて下さい。例えば、公証人の印鑑をもらって下さい。
 この作業をしていれば佐藤食品は訴訟に勝っていたでしょう。
 なお、従来は、発明をした製品を自分で販売したり、ホームページに掲載したりした後に特許を出願すると、特許を受けられませんでした。発明は絶対に新しくなければいけないという決まりがあるからです。
 しかし、自分の発明を自分で公表したのに、特許を受けられないのも気の毒なので、昨年に法律改正がありました。少し面倒な手続きが必要ですが、救済を受けられます。
 大切な知的財産権を守るのは一筋縄ではいけません。ご質問やご意見等がありましたら、ぜひ、メールを下さい。